top of page

オーシャンキッズクリニック様  VIとサイン計画

 2014年の秋、知多市新舞子に小児科クリニックが生まれました。この凡そ5ヶ月前にデザインのご縁を頂け、様々な案を創らせて頂きました。中には没案とするには惜しいデザインもあり・・・

 ご要望としては海、夕日、そして大地を預かりましたが、全部をビジュアル化するには無理があり・・・苦悩の日々が続きました。私のデザインは和風が多く、得意でもあります。〝オーシャンキッズクリニック〟という名前に釣合いながら、一度見たら忘れられないデザインは意外にも、掛軸や日本画に捺す〝落款〟にヒントを得ました。字のフォルムはちゃんと残しながら、まるで絵のような自由な線で独特の雰囲気を醸す・・・それが何百年も前の作品に捺されていることは驚きですね〜。このウミガメも、それと分かる〝いかにも〟を加減し、記憶に残らせる不思議フォルムにしました。

 

 VIの場合、その後のアイテム展開は事前予想が難しく、横長や縦長、サイトバナーのような極端な領域もあります。どんなアイテムにも可変させ、ボリュームを落とさないための〝おさまり〟をし続けながらアイテムは印刷物すべて、診察券、印章、名札、院内ピクト、建物外壁、駐車場サイン塔、野点サイン、電柱サイン、駅構内サインにまで及びました。

診察券/2種類創ったのですが、どちらも採用されました。

このデザインはやがて、野点サインに展開・・。

内覧会広告/下版ギリギリに撮影を遅らせたおかげで、迫力ある写真が揃いました。

リーフレット/内覧会広告とは違い、言葉の強さを全面に押し出しました。それを和らげるためにイメージ素材を厳選。海中から海面、そして青空へと繋がるダイナミックな画像を合成でつくりました。イメージに頼りすぎてはいけませんが、小児科専門〝ならでは〟のマーケティングの結果です。

院内入口と六連の窓/左から右へ卵の殻が割れてウミガメの赤ちゃんが顔を出す。やがて大海へ泳ぐ様をコマ送りのイラストに起こしました。最初は六連窓だけのデザインだったのですが、衝突防止シールのご要望を院長から預かり・・・ちょっと冷や汗ものでしたがうまくおさまりました。

お互いの意見のやりとりが、楽しいデザインを生んだ良い例といえますね〜。

エンボス加工がわかりますか?敢えて白基調とし、ウミガメの形でわずかに盛り上げました。

封筒/六連窓とリンクさせることで、強いブランディングを図りました。

子供の目線にも入るように、ウミガメはカーブを描いて配しました。

御名刺/表面加工が分かるでしょうか?リーフレットと同じ位置でウミガメを透明樹脂で水滴状に載せました。

 

例えば名刺・・新規開業する訳ですから、実に多くの方々と交換されます。自然、相手に印象付ける手段として、デザインの重要性はとても高くなる。でもその事に気付ける方は、実は少ないのです。たかが名刺ですが、相手に渡した瞬間から名刺は〝自らの分身になり得る・・・クォリティーを高めたデザインも、誰の名刺よりも厚い紙(通常は180kg→なんと300kg!)にしたのも、大きな差別化であり、かけるべきコストと考えます。

   心を汲む、小児医療

これをクリニックのコンセプトとして提言させて頂きましたが、このコピーは院長から預かった診療方針を何度も何度も読み返すうちに自然に湧きました。私にも小さな娘がいます。こんな想いのお医者さんなら、安心して診てもらえる・・・そう思いました。

例えば既製品・・・利点と欠点がありますね。安くできるがオリジナルに欠ける。アイテム展開するうえでは、随分悩まされるのです。印刷物も既成のデザインが存在します。言わば半製品・・・それらの利点も欠点も見極めながら、対コストを図りました。

右の室名札のトイレ・・普通は男女だけですが、子供を加えました。日本中探しても 無い、と思いますが・・・

特別診察室・・・患者さんを青くし、ソフトな区別化を図りました。

活字においてもすべてのアイテム間でフォントを統一しています。

 

しかしこのようなブランディングは、デザイナーの一方的な提案だけではなかなか成立しません。事業者つまり院長に、確固たる理念と、揺るぎない言葉をお持ちである事が理想、と考えます。

 

晴れて平成26年10月5日に内覧会を迎えられ、大勢のお客様がいらっしゃいました。私も終日、お手伝いさせて頂きましたが広い駐車場が埋まっちゃう場面も何度かあり・・・院長もおっしゃってましたが、〝地域住民の期待の大きさ〟と感じます。これらのデザインがその地域を照らし、末永く愛され続けますように、と願うばかりです。

室名札/いわゆるピクトグラムですが既製品では補いきれず、オリジナルで描き起こしました。

野点サイン/診察券とリンクさせたのですが、珍しい事にこの場所だと両面使いが出来たので・・・いいデザインだと、町並みまで素敵に見えたりしませんか?

2014.10.8

 

ご開院

 

bottom of page